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  穴

  小山田 浩子/著(新潮社



人は経済的自立のために職に就き、仕事を軸に生活のリズムをつくっていく。


慌ただしく過ぎていく時間こそ最も現実味があるかのように社会は動いている。


仕事が忙しいと、時間は速く、

仕事がひまだと、時間は遅く、つい余計なことを考える。


そんな仕事からある日解放されたら、どうなるのか。

縛りが解けた開放感と同時に、

ぽっかりと穴が開いたような空虚感を覚えるのではないだろうか。


夫の転勤で派遣社員を辞めて専業主婦になった主人公。都会を離れ川が流れる地方の借家暮らしがスタートする。

しかし、夫が出勤した後、家事と買い物意外にすることがなく時間をもてあます日々に戸惑う。


少しでも家計を安定させようと残業後も家事をこなしてきた自分の存在理由もぼんやりと霞んでゆく退屈な日常。鳴り止まない蝉の鳴き声が、まるで終わりのない夏休みに感じる。


そんなある日、謎の獣と遭遇。後を追っていくうちに川原の土手に掘られた穴に落っこちてしまう。

奇妙な体験を繰り返す主人公が、現実と幻夢を行き来しながらかろうじて存在しているような描写が続く。

toshiyo3.jpg

雨の日にホースで庭に水をまいている祖父母も不気味だが、肝心な時にもいつも携帯電話をいじっている夫の方が非現実的に見えるなど、現実と非現実の境が分からない世界観がおもしろかった。


主人公が川原で落ちた穴を探していると、遊んでいた子どもたちが「そんなん、この辺、穴だらけじゃあ!」と応える場面や、通夜に見知らぬ老人が大勢集まってくる場面がとても幻想的だ。


都会よりも地方の方が、より存在理由が明確でないと個人の社会性が見えにくいのかもしれないと思った。



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genre : 小説・文学

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kemurino

Author:kemurino
■けむりのまきたろう(♂)/年式:61式/居住地:軍艦が浮かぶ港町。自主映像チーム「煙野映画」代表。オリジナルショートムービー「暴中ハンター☆優」などをYouTubeで発表中。映画、本、音楽、麦酒が好物。instagramkemurino.films

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