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流 跡

朝吹真理子著(新潮文庫)



自主映画最新作の『KEEP OUT』では、何が夢幻で何が現実か分からないおぼろげな世界を描いてみたかった。

編集作業を終え、ネット公開したこの夏、たまたま書店で『きことわ』で芥川賞を受賞した朝吹真理子のデビュー作が文庫になって並んでいるのを発見、読んでみた。

自分が映像にしてみたかった脈略のない世界観に通じるものを強く感じてわくわくした。

同時に言葉を使ってこんな不思議な世界を描き映す小説家がいたことに驚いた。

世界がころっと変わる場面転換もおもしろく、個人的に映画『2001年宇宙の旅』や『アキラ』を観終えたときと同じような衝撃を受けた。

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主人公らしき者はいるのだが、序盤ではそれが男か女か、もののけか、鬼か、死者かも定かでない。

桜並木を写メしたかと思うと、屋外映画の幕なのか春の風景の中に開いた穴から秋へ移動してしまう。

過去か現在か未来か時間軸の位置関係すら分からない。

しかし、物語の中に何者か生きている者の感覚と意識だけが脈々と流れいく。それは活字となった言葉を追うという行為すら戸惑ってしまう不思議な読書体験だった。

実人生というのが幻のようにゆらいでいるのか、幻が実人生のようにゆらいでいるのか。どちらも判然としない」という主人公らしき者の思考は、あいまいな記憶と感覚をつなぎ合わせたようにおぼろげで儚い。

輪廻、流転という概念も言葉を介してして想像しているだけであって、個々の存在すらも言葉がないと形成されていない脆弱な現世にも思える。

宇宙を漂う魂のような言葉の魔力。脈略に頼らない感覚を覚える言葉の魔力。言葉が読者を言葉のない世界に誘っているようなパワーを感じた作品だ。

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theme : 読書感想文
genre : 小説・文学

プロフィール

kemurino

Author:kemurino
■けむりのまきたろう(♂)/年式:61式/居住地:軍艦が浮かぶ港町。自主映像チーム「煙野映画」代表。オリジナルショートムービー「暴中ハンター☆優」などをYouTubeで発表中。映画、本、音楽、麦酒が好物。instagramkemurino.films

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